第十回 詠草 
第九回 西千葉短歌会詠草
世話人＝三浦 佑之 （ＭＩＵＲＡ Ｓｕｋｅｙｕｋｉ）
２００１年１０月１６日、久しぶりの短歌会でした。ビル爆破・アフガン関連の歌が
多くなりました。新しい参加者もありました。ご意見・ご感想などお寄せください。
席次は、いつもの通り参加者の投票です。
（注）行間の空いていない歌は連作です。
１ 夏の陽と陰の隙間をくぐりぬけ確かに聴こゆ空蝉の声
２ 立つ人も立たざる人も嫌いです 青天めがけ差し指の、バーン 二席
３ わたしゃ あなたに あいたたた
おもいのうちは あいたたた
それでもちょっぴり 自分がこいしい
ひけぬ自分が あいたたた
４ 墓苑なる千鳥が淵のせみしぐれ御霊しずめの祈りに和せり
黒髪の大和の児等の御墓にそともしびともす茶髪乙女児
千人針に送り出されし御霊等の乗りて帰るらむ千羽折鶴
ひ（陽）とかげ（影）のしのぶもじづり並木路に夏つむじ風妹が髪舞ふ
学び舎の庭の池の辺たたずめば夏風秋風こもごもに吹く
５ これでなくそれを選びしこころなど知る由もなく風の道歩く
６ 思うとも 思わざるとも 汽車はゆき 夏はいつしか もみじへと消ゆ 一席
７ 微左微右（ビサビユウ）戦局を前に吾とあなた議論口づけに翼ごと閉じ
８ 現世に鋼鉄と血の風が吹き空は静かに涙を零す
９ ホットドックは投げつけられるケチャップ「ぱんっ！」 彼女と僕の戦争がはじまる
１０ 亡き妻の夢は見るさとはにかみてモルヒネ幻覚さめる一瞬
１１ 八雲なし滕（わ）き立つ煙わらわらと崩れ哭きしはいずれの女神
迎え撃つ闇夜の砲火真黒なる一面写真に隠せるは何
１２ ローソクの灯火新世界語れよクリスマス１２時過ぎて灰が降っても
ポスターの裏から突き刺すドス「ブシュ！」無言の犯行駆け去るベール
１３ 外国（そとくに）に上がる花火に目を細めしばしまどろむ日だまりのカメ
人はみな華厳ばかりに目を引かれそばでふて寝の涅槃の滝かな
１４ 蟷螂も機影も卵を産みて去りきいんと秋の空かなします 二席
１５ 夜中過ぎ１４インチの光源にただ吃り居る「日の丸」と我
１６ 幸福という空白に向けて飛ぶ男根
食卓を飾る花は水色 二席
１７ はらはらと 昔の日記を読んでいる 紅く黄色く秋つもる夜
フォークさす紅茶をそえたミルフィーユ お皿のうえにも秋はきにけり
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