第十五回 詠草 
第十四回 西千葉短歌会詠草
世話人＝三浦 佑之 （ＭＩＵＲＡ Ｓｕｋｅｙｕｋｉ）
２００３年３月１９日、修士課程をめでたく修了する成田君と高森さんの前途を祝って、
修了記念短歌会を開きました。時期が時期なので参加者は多くはなかったのですが、
イラク攻撃が始まったばかりで反戦歌あり、恋歌もあり、多彩な内容です。
今回は、席次をつけませんでしたが、あなたはどの歌が好きですか。
１ バグダッドの市場に人はあふれゐき戦を砂漠の生活として
スカーフの少女が笑ひ砂塵飛びカメラ引かれぬ開戦の朝
食卓に目玉焼き三皿せんそうは遠くて近くてかなしく遠し
原爆ドーム鳥籠として夜はありぬはたたく魂びつしりと籠め
２ 灰皿に押し潰したる蛍火の熱の名残の口紅の跡
３ 桜舞い春の憂鬱胸にいだき行方の知れぬ道歩み出す
そこにある未来をその手でつかみとれ迎える陽射しはきっと優しい
４ 取り囲む銃口二人は抱き合って笑い出したらゲームオーバー
かぶりつく生命の源ラフランス雪光る山我が想い人
５ 堕落して這い出して来た午後の日に僕をなぐるはマグリットの雲
６ 春遠く「あなたは神を……」信じません！ すべての神を焼き尽くす火を
大義なく人を殺すのかいブッシュさんよ 納豆にからまりわが口歪みて
７ 四方の海アメリカ党の石火矢のこぼつる命悔しかりけり
天の下領（うしは）きけらしアメリカの今様飛ぶ火禍つ火の神
ヘラクレスひざまづきけるみ仏は姿大きく立ちたまふなり
その上（かみ）のみ仏いづこアフガンの天に届ける山脈（やまなみ）に消ゆ
Copyright (C) Ｎｉｓｈｉ-ｃhiba Tanaka-kai. All rights reserved.