第十三回 西千葉短歌会詠草

                        世話人=三浦 佑之 (MIURA Sukeyuki)


        2003年1月30日、半年ぶりの短歌会でした。言葉遊びは楽しいですね。
        留学生や、修士論文の口述試問を終えたばかりの学生や、なかなかにぎやかでした。
        どうぞお楽しみください。
        


 1 ひとり一枚天涯孤独の軽さもてふと羽衣を着るまでの生

 2 風かしらぼくの背中を押したのはソコに近づきみんなが見える

 3 
私に穿たれた傷ふさがんと腕鋭角に飛行機昇る        二席

 4 罅割れた鏡の先に映る未来
   蜘蛛の巣の人工繊維を着た歌人が見える

   口輪を嵌められた小熊はでんぐり返しで突進する
   甘いご褒美は座長の靴先に

   カナリヤは短く鳴いた
   オスの死骸が冷たい雨に流れていった

 5 いろさめた みしらぬものを あおぎみる うみのかなたへ せんをひきつつ

 6 
伸ばす手は望月隠し空をかく手のひらごしに光はあるけど     二席

   紅ささぬ口かぶりつくビッグマック君がはにかむ春の日だまり

 7 月曇りゴミ場の煙鼠輩大会

 8 ずれちまった頸椎よ神経に触るな! 「青春」語る修論を前に

 9 
冬の日に乳房とれたる女あり夫がためにリンゴむきおる      一席
   定型は銀色のフォークに似たり歌の誠と真の歌と



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