因幡の白兎　（いなばのしろうさぎ）

三浦 佑之　（ＭＩＵＲＡ　Ｓｕｋｅｙｕｋｉ）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（『日本民俗大辞典』　吉川弘文館　1999.10 ）

　　稲羽の素兎ともいう（内容はこちら）。ワニをだまして海を渡ろうとして失敗し皮を剥がれ、八十神にだまされて塩水を浴びて皮膚が裂けて痛み苦しみ泣いていた時に、大穴牟遅神（大国主神）に救われるという、『古事記』に語られている神話の主人公。ワニをだます話は、マレー半島・インドネシアなどに類話があるという。動物競争・葛藤の様式をもち、白兎には、トリックスター的な性格が窺えるなど、古代の民間伝承を考える上で興味深い。

〔参考文献〕　松村武雄『日本神話の研究』三、一九五五年、培風館。
　三浦佑之「大国主神話の構造と語り」（古事記学会編『古事記研究大系』八所収、一九九三年、高科書店。『神話と歴史叙述』再録）


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